出っ歯の早期矯正は不要

出っ歯の早期矯正は不要…永久歯後でも効果同じ

2016年10月6日 読売新聞 多摩市小児歯科ニュース
歯科矯正専門医学会が指針…一般向け公表は国内初

子どもの出っ歯の矯正治療について、日本歯科矯正専門医学会は永久歯が生えそろわない段階での早期からの治療は行うべきでないとする診療指針を作成した。歯科矯正の診療指針が一般向けに公表されるのは国内で初めて。

出っ歯は歯科矯正患者の4分の1を占める。同学会は外国の17本の論文から、永久歯と乳歯が交ざっている7~11歳児の出っ歯について、早期から治療を継続した患者群と、永久歯が生えそろった後から治療を始めた患者群で、歯並びの改善度合いを解析した。その結果、両方の治療効果に差はなかった。

この結果は、科学的根拠に基づいた診療指針を掲載する、日本医療機能評価機構の医療情報サービス事業「マインズ」の ホームページ に掲載された。

同学会の大野秀徳副会長は「経験上、早期治療だけで出っ歯は改善されず、ほとんどはその後、再度治療が必要になる。同じ治療結果であれば、患者の利益になる治療を選ぶべきだ」と話す。

ただ現状では早期からの矯正治療が行われることも多い。この指針でも、早期の矯正で永久歯がはえそろってからの治療が不要になると判断された場合は、早期治療を認めている。

矯正歯科分野で最大の団体、日本矯正歯科学会の槙宏太郎理事(昭和大学歯科病院長)は「歯の矯正は治療を受けた場合と受けなかった場合の比較研究が難しく、解析対象の論文が適切か、評価は難しい。早期治療で永久歯になってからの治療が不要になる人も多い」と話している。

多摩市永山 亀山歯科 東京都多摩市貝取1-17-3
京王永山駅,小田急永山駅より徒歩8分

矯正治療を始める前に

矯正治療を始める前に

矯正治療は良いことばかりではありません。実際には矯正治療を始めることによって、想像以上のデメリットやマイナス面があることを知っておかなければいけません。

治療費が高く、経済的負担が大きい

矯正治療はほとんどが審美的・美容的目的の治療として行われるため、健康保険が効きません。そのために治療費はとても高額になってしまいます。

治療期間が長期にわたる

最低でも1〜2年、場合によっては3〜5年、気がついたら10年以上なんていうケースもざらにあります。すぐに綺麗な歯並びで楽しい毎日が訪れるわけではなく、一番輝いている楽しい青春の時期に、見た目の悪い装置を歯に接着して、笑うのも写真に撮られるのもコンプレックス。こんなはずじゃなかったなんてよくあることなんです。

装置を装着するため、慣れるまで違和感やわずらわらしさがある(歯が浮く感じがする、舌が当たってしゃべりにくい、食べ物がひっかかる、口内炎ができやすい等)

固定式矯正治療は歯の表面にブラケットという装置を強力に接着し、さらに針金を通して針金の弾力で骨を溶かして歯を動かします。歯が動くためには骨を溶かす必要があるので、痛いし歯が浮くし噛むと痛い。歯は磨きにくいので虫歯になるし、食べにくい上に喋りづらい。口内炎もよくできます。

歯に装置が装着されているのが見える

矯正をしたら歯並びが綺麗になる、でもその前に楽しい時期を何年間もみにくいアヒルの子にならなければならないのですから、始める時期はよくよく考えて相当の覚悟が必要です。

健康な永久歯を抜歯しなければならないことがある

矯正をしなければならないケースは大抵、顎が小さくて歯が並びきらないことが多いので、上下左右の小臼歯4本を抜いてそのスペースを利用して歯を並べることがほとんどです。少しの凸凹を治すために、健康な虫歯でもない歯を4本も抜いて本当に大丈夫? 喋るのも食べるのも今はなんともないんだから、矯正治療が自分にとって本当に必要かどうかをよく考えて家族で話し合ってから矯正治療を始める必要があります。

取り外し可能の矯正装置は、患者本人で装置の管理をする必要がある

取り外しのできる入れ歯のような矯正装置もありますが、この装置は毎日使わなければ効果が出ない上に壊れたり紛失したりする心配があります。取り外しできるとはいえお手入れをしなければ虫歯にもなりやすくなります。

固定式の装置(患者自身では取り外せない装置)の場合、注意深く歯ミガキを行わないと虫歯や歯肉炎ができてしまう恐れがある

固定式の矯正装置は歯に強力な接着剤でブラケットという装置を接着するために、歯磨きがとても難しくなってしまいます。矯正治療が終わった頃には歯がほとんど虫歯だらけになってしまった、なんていうことはよくあることです。また歯磨きがきちんとできないと歯肉に炎症が起きて歯肉炎になってしまいます。口臭の原因になることがあるので、矯正中は毎食後10分以上の丁寧な歯磨きが必須です。

矯正治療によって歯を移動中、歯の根の先端が溶けてしまうことがある

歯を動かすためには、歯が植わっている骨を少しずつ溶かす必要があります。しかし歯を少しでも早く動かそうとしたり、無理な方向に動かそうとすると、歯の根の先の方が溶けてしまうことがあります。3分の1ほど溶けてしまうこともあるので、そうなると歯の寿命も短くなることになります。矯正治療をしたら歯の寿命が早くなってしまい、早い時期に入れ歯になったという報告もあります。

矯正治療中は、一時的に咬み合わせが不安定になるため、アゴの関節に音がする、違和感がある、口が開けにくいなどの症状が出る場合がある

矯正治療をすると顎関節症が治るなんていうことはほとんどありません。むしろ矯正治療をすることによって顎関節症になってしまったケースの方が多く見られます。矯正治療の場合機能を犠牲にして審美や見た目を優先して治療するため、噛み合わせが犠牲になることがあります。矯正前は歯並びが悪くてもほとんどの歯がしっかり噛んでいたのに、矯正治療が終わったら見た目は良いけど噛み合わせが悪くなって前歯で噛みきれなくなってしまった、というケースや顎関節症になってしまったというケースがとても多く見られます。

治療終了後の後戻り

矯正治療で歯並びが綺麗に並んで装置が外れてホッと安心したのもつかの間、必ず歯を動かした後の後戻りがあります。歯は矯正をしてもしなくても、一生の間で少しずつ動いています。特に矯正治療をした後では強く後戻りしやすいので、必ず保定装置という後戻り防止装置を長期間にわたって装着する必要があります。歯の裏側に接着したり、入れ歯のような装置を寝てる間に装着したり、クリアで透明なマウスピースを入れたりします。

歯並びは個性です

歯並びに様々な個性はありますが、八重歯や出っ歯は病気ではありません。
背の高さに高い低いがあるように、顎の大きさにも大きい小さいがあります。体つきにデブとヤセ、顔の形に丸と四角、長い短いなどの個性があるように、歯並びにも出っ歯や受け口、八重歯などの個性があるのです。平成天皇も雅子さまも愛子様もキムタクもみなさんよくよく見ると歯並びは凸凹です。ですがそれが大衆から愛される大切な個性となっていて全然醜くはありません。出っ歯も受け口も八重歯もみんな素敵な個性なのですから、子供の個性を尊重してよくよく考えて、家族で相談してから矯正治療を始めましょう。喋ることと食べることに問題がなければ、日常生活上においては矯正治療をしなくても大丈夫です。

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